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スペシャルトーク

第2回 空気公団

PROFILE

U村氏写真左から戸川由幸、山崎ゆかり、窪田渡

空気公団プロフィール

1997年結成。メンバー交代を経て現在は3人で活動しています。
ライブはほとんどしていません。
音源制作を中心に活動しながら、スクリーンの裏側で演奏するライブイベントや、音楽を聴きながら作品を楽しむ展覧会「音の展示」等、様々な公演をしています。

取材・文/宮昌太朗

PROFILE

――まず最初に、原作をお読みになったときの感想を伺えればと思うんですが、山崎さんからお願いできますか?

青い花
山崎: 今回、オープニングの依頼をお受けして初めて読みました――というか、私は普段からそれほどマンガを読まないんですけど、すごく楽しかった。もちろんただ楽しんでいるだけじゃなくて、どこに自分たちが交われるところがあるだろう、って探しながら読み進めて......。私たちが、音楽を作るときに大切にしていることのひとつが"間"なんです。『青い花』を読むと、コマとコマの間にある"間"だったり、あとはセリフがない空間に奥行きがあるような感じとか、あまり言い過ぎないというところが共通しているのかな、と思いました。
戸川: 僕は結構、普段からマンガを読む方なんですけど、例えば『バキ』だったり(笑)。真逆なタイプの作品ばっかりなので、すごく新鮮でした。普段読んでいるマンガとはタイプが違いますが、引き込まれるものがありました。
窪田: 僕も、あまりマンガを読むタイプじゃなくて、単行本でマンガを読むのはすごく久しぶりでした。だから、最初はマンガの読み方を思い出しつつ......(笑)。

――そこからやり直す感じで(笑)。

窪田: さっき山崎も話してましたけど、この作品は、あんまり説明をしないんですよね。セリフできっちり言ってしまうわけではなくて、よく見ると、ちょっと意味深な絵が要所要所にあって。それをひとつずつ追っていくと、「ああ、そうか」と心象風景が見えてくる。そこが一番の魅力なんだな、と思います。だから、このオープニング曲を作るときも、それほど「難しいな」という感じはなかった。素直にやればできるんじゃないかな、と思いました。

――『青い花』の舞台は女子高なんですけども、自分の学生時代を思い出しながら、曲を作ったりしたんでしょうか?

山崎: うーん、私は女子高だったんですけど、まあ、こういうことは結構あったように思います......。女子高だと、普段から男っぽいスポーツ系の女の子が騒がれていたりしました......。そういう部分は懐かしかったです(笑)。この曲は、そういうところより、キャラクターたちの気持ちが揺れ動いているところにスポットをあてて、彼女たちのことを、同目線ではなく、ちょっと別の位置から見ているような感じで書きました。

――最初に思い描いたイメージというのは、どんな感じだったんでしょうか?

山崎: 楽しいだけじゃなくて、寂しさもなにもかも、全部ある感じにしたいという話をしました。アニメのオープニング曲なので、少しは駆け出すような印象があった方がいいと思ったんですけど、でもそれだけだと、一面的になっちゃうかな、と。『青い花』の登場人物たちは、みんなもっと多面的ですよね。だから、少し寂しい要素も入れつつ、でも走りすぎないようにできればいいなと考えました。少しだけ強い「風」の様なイメージです。

――こういう形で楽曲を提供するのは、空気公団にとって初めてだったと思うんですけども、「アニメのオープニングだ」っていう意識は強くあったんでしょうか?

山崎: やっぱり普段、曲を作るのとは違いますね(笑)。
窪田: アップテンポにやらなきゃいけないのかなって、初めは思っていたんです。だから最初は、頭からドラムが入っているアレンジで作っていたんですけど、途中で監督から「ドラムが入る前の、デモの雰囲気を残したい」と言われました。そういうイメージで『青い花』を捉えているのだとすれば、自分たちが考えていたところと近い。どちらかと言えば、空気公団の"陰"の部分というか、そういうところを求められていたのかな、と思いましたね。

――その"陰"の部分というのは?

窪田: うまく言葉では言えないですけど、これは僕が考える空気公団のイメージです。パッと見て「明るく楽しい」というだけじゃなくて、ちょっとほの暗い、生々しいところがあって、ちょっと怖い世界みたいなものが存在している、というところでしょうか。
戸川: 逆に、アップテンポで元気な曲っていうのは、ねらってやらないとできないかもしれない。
山崎: 多面的でありたいと思っているんです。ただ一方向に向かって「楽しいだけ」とか「悲しいだけ」というよりは、それが全部集まった感じで表現できるのが、一番いいかなと思う。特に『青い花』の彼女たちは、泣いたり笑ったり怒ったりしているわけで、そういうものが全部出せると一番いい。

――実際に『青い花』を読まれて、気に入ったキャラクターとか場面はありましたか?

山崎: この人のここが......と具体的にはないんですけど、表情ではあります。例えば(第1巻p.158/杉本先輩の横顔を指差しながら)こことか......。最初に曲を作る段階は、第1巻の――みんなで藤が谷に行くところかな? 彼女たちがいないコマがあるんですけど、「こういう印象なんだよね」って話したりもしました。でも、この人たちの日常って、たぶんこういう場面だけじゃないんだよな、と思い返したんです。

――ちょっとうつむいてるような場面。

山崎: ひとりになって、自分のことを考えているときの顔とか。そういうところが『青い花』の大切なところなんじゃないかって思ったんです。

後編に続く

2009.7.03 UP

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© 2009 志村貴子・太田出版/青い花製作委員会